私が子どもの頃、
「コウモリ」は存在しない生き物だと信じていた。
コウモリと言えば、なんとなく悪魔とかドラキュラとかのイメージ。
この世には存在はしないものだと思っていた。
いや、もう少し詳しく言えば、「ネッシー」と同じ扱い。
「もしかしたら、地球上のどこかにいるのかもしれない…」という期待感があった 。
未確認生物のようなものだと信じていた。
そういう話は、子どもながらにワクワクする。
ある日、友人が「最近夕方にコウモリを見た」という話をしていた。
当時の私は「ついにきたか!!」とドキドキが止まらなかった。
その日の夕方、外に出て、必死にコウモリを探した。
存在するはずがない、そんなことは分かっていた。
けど、もしかしたら…そんな期待を膨らましていた。
それっぽい鳥が飛んでいたら、「アレじゃないかっ!?」と双眼鏡で覗いていた。
しかし、やはり見つからなかった。
友人は、きっと見間違えていたのだ。
けど、その日は特別なワクワク感に包まれていた。
なんだかとっても幸せな気分だった。
それから月日が経ち…いつだったろうか。
テレビで、洞窟から大量のコウモリが飛んでいる光景を見てしまった。
あの時のショックは忘れない。
サンタさんを信じていた子どもが、その正体を知った時と同等、いやそれ以上のショックである。
今日、息子と二人で動物園に行った。
そこには「コウモリ」がいた。
今の子どもたちは、こんなに間近で「コウモリ」を見ることができるんだな。
けど、それとは引き換えに、あのワクワク感を抱くこともないのであろう。
〜続く〜