最笑はGOOD!〜ちょっとBigな教師のブログ〜

小学校教師であり、二児の父でもあります。日々のちょっとしたこと、気ままに書いていきます。「最」高の「笑」顔を目指して!最笑はGOOD!(さいしょはグー)

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跳び箱を跳び越す感動。

昨日、友人とLINEで「跳び箱」について話した。

 

どうやったら子どもが跳び箱を跳べるようになるのか…。

 

私は、TOSSで有名な向山洋一氏の実践を知ってから、毎年開脚跳びをする際には、その方式を実践している。

 

その結果、毎年クラスの子全員が「開脚跳び」ができるようになる。

 

向山氏の跳び箱を跳ばせる技術。

 

その概要がYouTubeにあったので、こちらに貼っておきます…。

 


向山式跳び箱指導法A式

 


向山式跳び箱指導法B式

 

これを知ってから、私の中での世界観が一つ変わったのも事実。

 

6年生を受け持った時、開脚跳びができない子がいた。

 

もちろん、その子は小学校生活で過去5年間一度も開脚跳びができたことがない。

 

6年生での初めての跳び箱運動。

 

練習を開始してから10分も経たないうちに、その子は開脚跳びができた。

 

人生で初めて出来たのである。

 

別に私の指導力がどうこうという問題ではない…。

 

この技術を知っているか、知らないか…だと思う。

 

「子どもたちの学び合い、助け合いを経て、協力をしながら跳べることがいいのだ」と主張される方がいるかもしれない。

 

そういう考え方もあってもいいと思う。

 

ただ、それで“跳べる”ようになるのであれば…。

 

 

 

開脚跳びのポイントは分かりました。

 

コツも分かりました。

 

友達と協力して、お互いに跳ぶ時のポイントを伝えることもできました。

 

友達からたくさんアドバイスももらいました。

 

手取り足取り教えてもらいました。

 

けど…

 

未だに跳べません。

 

 

 

 

こんなことがあっていいのか。

 

それで、子どもは満足か?

 

まずは「できる」ようになること。

 

ここに喜びを見出すのではないかな、と私は思う。

 

まずは、開脚跳びができるようになること。

 

ここで初めてみんなと同じ土俵に立てるのだと思う。

 

まずはそこに乗せる。

 

それが教師の役目だと、今の私は考える。

 

 

 

 

昨日、跳び箱について話していた時、ふと思い出したことがあった。

 

今からちょうど1年前のこと。

 

1年前のそのときの「記録」がパソコンに残っていた。

 

今日は、最後にこちらを紹介して終わりたい。

 

昨年受け持った6年生の跳び箱の実践記録である。

 

 

体育の時間(J君の事例)

 J君というのは、クラスの中でも、もっと言うならば、学年の中でも一番といっていいほどの運動が苦手な子。100m走も20秒以上かかってしまうし、組体操でも特に配慮が必要な子であった。運動だけでなく、多くのことに不器用な子である。ただ、J君には誰にも負けない思いやりの心がある。クラスで一番といっていいほどの非常に心優しい子である。
 
 今日は、体育館で跳び箱の学習があった。来週からは、卒業式関係の特別日程になるので、体育館での体育は今日が今年度最後となる。今年度は3回目の跳び箱の学習であったので、今日は多くの子が首はね跳びや頭はね跳びに挑戦していた。できない子でも台上前転を練習していた。
 
 ちなみにうちのクラスは、開脚跳びを「全員」が跳べる。5年生で初めて跳び箱をした時には、5人跳べない子がいた。しかし、最初の5〜10分でその5人全員を跳べるようになった。これは、向山洋一氏の跳び箱の開脚跳びを跳ばせる技術を学んだからだ。今年の最初の跳び箱授業の時に、一人の女子が「先生、私、また跳べなくなっているかも。そしたらどうしよう。いやだな。」と言ってきた。この子は、昨年初めて跳べた子だ。その子の保護者にも感謝された。私も昨年のことがあったので、「大丈夫、もし跳べなくなっていても、去年跳べていたんだから。1分で跳べるようになるよ。」と言い切った。私にはその子を跳ばせる自信もあったし、実際に1分ほどで跳べるようになった。
 
 「全員」が跳べると書いたが、実は、J君だけは昨年跳ぶことができなかった。何度も何度も挑戦したが、跳べなかった。私自身6年間というまだまだ短い教員人生ではあるけれども、担任した子たちの中で開脚跳びが跳べないのはJ君だけだった。そんなJ君は、もともとあまり体力がないので、練習していて途中でバテてしまい、それっきりになってしまっていた。今年の跳び箱の学習が始まった時、ずっとこのことが頭にあった。
 
 J君は家庭の都合で、今日1ヶ月ぶりに登校してきた。そして、今年最初で最後の跳び箱の学習に臨んだ。みんなが首はね跳びを練習している中、ただ一人、5段の跳び箱に向かって開脚跳びを練習していた。ここが勝負だと思った。
 
 J君のところに近寄り、「跳んでみよう」と声をかけた。
私が5回ほど補助をしていたら、補助ありで跳べるようになった。
そして、J君がまた跳び箱に向かって助走してきた。
私は補助をするふりをして、一切J君に触らなかった。
 
 
 
跳んだ。
 
 
 
鳥肌がたった。
 
J君は、なんだか笑顔を隠しているような表情だった。ハイタッチを求めたら、片方の手しかタッチしなかった。それでも嬉しかった。その後、J君はひたすらに開脚跳びをしていた。途中、私のところに来て、「先生、6段に挑戦したんだけど、お尻がちょっと当たっちゃったよ。」と笑顔で言ってきた。
 
 授業が終わる直前に、全員を集合させた。「今日は、首はねとびができるようになった人がたくさんいましたね。ところで、今日はもう一つ紹介したいことがあります。小学校生活最後の跳び箱の授業で、初めて開脚跳びができた人がいるんだ。」「それは、J君です。」おぉぉ〜っと拍手が上がった。「では、最後にJ君に開脚跳びをしてもらいましょう。」J君には事前に何も言っていなかったので、「恥ずかしい。」と言っていた。けど「大丈夫、できる。」と声をかけた。J君が助走の位置についた。そこでみんなに言った。「J君には急にお願いしちゃったし、今日初めてのことだから、失敗もするかもしれないね。でもその時は、頑張って挑戦したことに拍手をしてね。もし、大成功したら、その時も大きな拍手をお願いね。」今、思えば、こんなことは言う必要はなかった。
 
J君は勢い良く助走し、見事に5段の跳び箱を跳んだ。
その瞬間に、体育館中に響き渡るほどの歓声と拍手が起こった。
J君が一番苦手な体育で主役になったのだ。
 
 
片付けの時に、J君は私にこう言った。
 
 
「先生、僕、今日は眠れないかもしれない。」