【一時に一事】指示を出すときに大切にしていること
普段から、教師は子どもたちに「指示」を与えている。
こうやって言葉で書くと、なんだかとっても威圧的な感じがするが、すべてがそういうものではない。
例えば、「席に着きましょう」も指示だし、「教科書を出しましょう」も指示だ。
これらの指示を言うときに大切にしている原則がある。
それは、「一時に一事を指示する」ということ。
詳しくは、コチラの本をどうぞ。
- 作者: 向山洋一
- 出版社/メーカー: 明治図書出版
- 発売日: 1985/06/01
- メディア: 新書
- 購入: 10人 クリック: 35回
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例えば、原則にかなっていないのが、こんな指示。
「今から国語の勉強を始めます。ロッカーから辞書を持ってきて、そしたら教科書とノートを出して。ノートは漢字のノートも出しておいてね。ノートには、今日の日付を書いて、終わったら教科書の48ページを開いて待っています。」
この指示を耳だけで聞いて、その通りにできる子は果たして何人いるだろう。
ノートは出したが、漢字のノートは出していない子に対して、「漢字のノートも出しなさいと言いましたよ!」
ノートに日付が書かれていない子には、「日付を書きなさいと言いました!」
「先生、教科書は何ページですか?」という質問が出たら、「さっき言いました!」
これは、ちょっと極端な例。
けど、この場合は、完全に教師の指示が悪い。
大切なのは、「一時に一事の指示をする」ということ。
「ロッカーから辞書を持ってきます。」と言って、ロッカーから辞書を持ってきたことを確認してから、「教科書とノートを出します。」と指示。
いや、もっと言えば、「教科書を出します。」と言って、教科書が出たら、「ノートを出します。」と分けて言ってもいいかもしれない。
このように、一つ一つ細分化して指示をすると、聞いている方の混乱も少なくなる。
それに、一つの指示に対して、それができたら評価ができる。
時には、長い指示を出さなければいけないこともあるかもしれない。
そういう時は、私は黒板に番号を振って指示を出す。
例えば、テストの後に何をするのかという時。
①見直しをする。
②満点の自信がある子は、提出する。
③漢字の練習をする。
④読書をする。
というように、板書をしておけば、子どもたちも安心して次の行動にうつることができる。
ところで、この「一時に一事」というのは、教師が意識しておく原則だと思っていた。
しかし、子どもに意識させることも大切であり、有効であることを最近になって感じ始めている。
その考えの参考になったのは、この本。
- 作者: 平光雄
- 出版社/メーカー: 致知出版社
- 発売日: 2014/10/28
- メディア: 単行本
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子どもに「集中」の大切さを教えるときに「一時に一事」の原則を伝える。
この本では、次のように子どもたちに提示をしていた。
いちじにいちじ
このフレーズを提示。
「漢字で書くと、意味がわかる」
一□に一□
□にどんな漢字が入るか。
しばらく考えさせたあと、
「答えは一時に一事」
「いっときに一つのことだけをやる」という意味。
時々、漢字練習をしながら、「先生、今日の理科は実験?」と聞く子がいるが、それは「一時に二事」で気が散っているということ。
今やっていること、そのことに「いちじにいちじ」で集中しよう。
この実践、昨年度6年生を担任しているときに伝えた。
計算練習をしているときに、隣の友達に「今日、遊べる?」と聞いていた子。
「それ、一時に二事だなぁ」と事実を伝えると、「やべっ」という顔をしながら、再び計算に取り組んでいた。
こういう「フレーズ」を子どもの中に染み込ませていくのは、今回で言えば「集中する」という価値観を教えていくことになるのだろう。
今回参考にした本はコチラ。
- 作者: 向山洋一
- 出版社/メーカー: 明治図書出版
- 発売日: 1985/06/01
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- 作者: 平光雄
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