最笑はGOOD!〜全力で前に突き進む〜

小学校教師であり、二児の父でもあります。日々のちょっとしたことを気ままに書いていきます。「最」高の「笑」顔を目指して!最笑はGOOD!(さいしょはグー)

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【家庭学習】自学のすゝめ

これまで宿題に「自学」というものを出していた。

今年度はまだ実践していないのだが、昨年度までは毎日のように取り組んできた。
この実践はとてもいいと実感している。

そもそも自学をやろうと思ったのは、4年前くらい。
当時同じ学年を組んでいた私の尊敬する先生から教えてもらった。
そのときに「参考になるよ」といただいたのがこの本。

自学のシステムづくり (自学能力を鍛える)

自学のシステムづくり (自学能力を鍛える)


初めて実践したのは、持ち上がりの4年生の子供達。
自学って、よく「何をやればいいのか分からない」という壁にぶつかりやすい。
現にそういう声を何度も聞いてきた。
私もまだまだ勉強中の発展途上なので。

けど、この「何をやればいいのか分からない」を解決するのが、こちらからメニューを提示するということ。

この本では、大きく3つのメニューに分かれている。

Aメニュー:少し粘りのある思考作業を促すテーマ
Bメニュー:楽しく知的なドリル作業をさせるテーマ
Cメニュー:ツーウェイを成立させ「自学」を自己評価させるテーマ

それぞれのメニューを10個くらいずつ紹介して、ノートに一覧表を貼らせていた。
そして1週間とか2週間くらいで新しいメニューを導入。
その繰り返しで「自学」というものに慣れていった。

では、この自学、果たして何がいいのか。
私の感じた「よさ」をまとめてみる。


よさ①

教師と子どものツーウェイが出来上がり、密なコミュニケーションの1つの手段となる。

自学は基本的に毎日行っていた。
そして、毎日私からコメントを書いていた。
「コメントが楽しみで仕方ないみたいです」と保護者の方からお話をいただいたことも何度かあった。
そのコメントが、まるで会話のようになり、自学が教師とその子どもとの「交換日記」となることもしばしばあった。

「毎日コメントを書くなんて大変では?」と思われる方もいると思う。
実際、「楽」ではない。
が、「大変」でもない。
むしろ楽しいと感じてコメントしていた。
自学は基本的に、「見開き2ページ」または「片側1ページ」をびっしりと埋めて書いてくる、というルールで行っていた。
そのノートには、たくさんのメニューで埋まってくる。
ザッと全てに目を通すが、コメントするのは、「気になった部分」だったり、メニューとは全く関係のない「雑談」だったりもする。
要するに自由なコメントだった。
だから、それほど大変さを感じていなかったし、本当にコメントを書く時間がないときは、「見ました」ハンコだけのときもあった。
あまり負担にならないようにしていた。


よさ②

「継続は力なり」を子ども自身が実感できる。

メニューの中には、「33の10個足し」のようなメニューがあった。
33という数字はその子どもが決めるランダムなものだが、この場合、33を10個足してくる。筆算で。
答えは330になる。
翌日の自学では、その330から続けて33を10個足してくる。
その翌日は、前日の答えから続けて33を10個足してくる…。
このようにして、毎日毎日そのメニューを継続していくのだ。
これは、すごい。
たった2桁の数字が、学年末には6桁、7桁にいくことがある。
毎日地道にこのメニューを続けていたからこそ達することのできる境地である。
決して華やかなメニューではないが、結構男子に人気のメニューであった。

それ以外にも、毎日のように「振り返り日記」を文章で書いている子がいた。
毎日、毎日である。
学年末、文章のボリューム、質が上がったのは言うまでもない。
そして、文章を書くスピードも上がったという。

これらのメニューは、決して強制されているわけではない。
子どもが自身で選んでやっているのだ。
「33の10個足し」も、途中でやめたっていいのだ。
それでも続けるというのは、その「選択できる」という余地がうまく功を奏しているんではないかと思う。


よさ③

とにかく楽しいらしい。

「らしい」というのは、ちょっと曖昧な表現だ。
あくまで取り組んでいるのは、私ではなく、子どもたちなので、こういう表現になった。
実際に「楽しい」と言っている子もいた。
学年末、毎年必ずと言っていいほど、こんな声が聞こえて来る。
「来年もやりたい」

4年生だったその子は、毎日のように自分の好きなイラストを書いていた。
イラストと言っても、5分や10分で書けるようなものではない。
ディテールにこだわった、おそらく1時間近くかけて書いているであろうイラストである。
国語や算数があまり好きではない、と言っていた子だが、イラストは好きだった。
5年になり、担任でなくなったある日、私のところに来て、「先生、今は自学はないんですけど、イラスト書いて持ってきていいですか?」と言いに来た。
よほどハマっていたんだろう。

また、6年生で実施したときは、「卒業とともに、自学がなくなるのが寂しい」と言う子もいた。
「中学校に行っても、続けます」と言っていた。
毎日楽しんで取り組んでいる子であった。
そういう子たちの自学は、見ているだけでも本当に楽しい。
だからこそ、コメントを毎日するのも苦じゃないのだ。


よさ④

家庭学習の習慣になる。

よく、家庭学習の時間の目安は、「10分×学年」なんて言われる。
6年生ならば、10分×6=60分だ。
この自学は、結構時間を要する。
自然と机に向かう子がでてくる。
先にも書いたように、イラストでもいいのだ。(このあたりについては賛否両論あると思うが)
まずは、机に向かう習慣をつけることが大切だと考える。
その手段としては、「自学」はもってこいだと思う。



私の体感したよさについて述べたが、まだまだ発展途上である。
「自学」が合わなかったであろう子もいたのも事実。
その子に適切な手立てを打てていなかった自分がいたのも事実。
けど、「自学」には可能性がある。
今年度はまだ実践していないが、2学期から取り組みたいなと思っている。



参考にした本はコチラ。

自学のシステムづくり (自学能力を鍛える)

自学のシステムづくり (自学能力を鍛える)